『楽園の館』 2
御名神亭の業務日誌
「…ちょ、ちょっと…近くで見ると気味が悪いんだけど…。」
昭栄学園水泳部のメンバーはボートを着けた海岸の奥から延びる石の階段を上った先にある洋館の前まで来ていた。
近くまでくると少々威圧感のある石造りの洋館…。
見様によってはお化け屋敷で通りそうな外観に、梓に肩を貸されている美音子が不満を漏らす。
「まぁまぁ猫森。
見れば比較的手入れはされているみたいだし、無人って事はなさそうだから大丈夫だよ。」
「…その自信、どこからわいてくるんですか~。」
まだ、美音子は不満があったが、聞いてないようで直樹は洋館の大きな扉をノックする。
コンコン……。
コンコン…ギ、ギギイィ…。
ゆっくり扉が開かれると、中からでてきたのは足首も隠れるほどの長いワンピースに白いエプロン姿、いわゆるメイド服に身を包んだ美しい女性。
「何方でしょうか?」
「あ、済みませんが、僕ら水泳部の合宿でこの島まで泳いで来たのですが、途中で彼女がクラゲに刺されてしまいまして。」
「出来れば、薬を分けて頂けないでしょうか。」
説明を聞いていた女性はゆっくりと
「あらあら、それは大変ですねぇ…。
あいにく、ご主人様は不在ですが、ともかくお入り下さい。
じきに雨も降ってくるでしょうから、しばらく休んでいってくださいませ。
…楽園館へようこそ。」
そういうと、メンバーを屋敷に招きいれた。
昭栄学園水泳部のメンバーはボートを着けた海岸の奥から延びる石の階段を上った先にある洋館の前まで来ていた。
近くまでくると少々威圧感のある石造りの洋館…。
見様によってはお化け屋敷で通りそうな外観に、梓に肩を貸されている美音子が不満を漏らす。
「まぁまぁ猫森。
見れば比較的手入れはされているみたいだし、無人って事はなさそうだから大丈夫だよ。」
「…その自信、どこからわいてくるんですか~。」
まだ、美音子は不満があったが、聞いてないようで直樹は洋館の大きな扉をノックする。
コンコン……。
コンコン…ギ、ギギイィ…。
ゆっくり扉が開かれると、中からでてきたのは足首も隠れるほどの長いワンピースに白いエプロン姿、いわゆるメイド服に身を包んだ美しい女性。
「何方でしょうか?」
「あ、済みませんが、僕ら水泳部の合宿でこの島まで泳いで来たのですが、途中で彼女がクラゲに刺されてしまいまして。」
「出来れば、薬を分けて頂けないでしょうか。」
説明を聞いていた女性はゆっくりと
「あらあら、それは大変ですねぇ…。
あいにく、ご主人様は不在ですが、ともかくお入り下さい。
じきに雨も降ってくるでしょうから、しばらく休んでいってくださいませ。
…楽園館へようこそ。」
そういうと、メンバーを屋敷に招きいれた。
…屋敷の中はよく手入れをされており、またその調度品は時代を感じさせる物ばかりであった。
「…すごいですぅ…。」
「そ、そうね。ちょっとあたし達、場違いな感じよね…。」
4人が圧倒されている横で、透はブツブツ呟いていた。
「むぅ…調度品の年代はバラバラの様だが、趣味は悪くない…。
だが、何より、あのメイドさんのスタイル…長袖ロングスカートの黒ワンピースにフリルたっぷりのエプロン…正しく正当なメイドさんだ。
すばらしい、すばらしいよ、まだ見ぬご主人様とやら…出来れば僕が変わりたいぐらいだ…。」
「水野…キショい…。」
美音子は痛みに呻きつつ、それでも言わずにはおれぬといった感じで呟く。が、透には届いてないようだ。
しばらく待っていると、先ほどのメイドが薬を持ってやって来た。
「薬をお持ちしましたが…こちらでは殿方がおられますので…。」
「あ、そうですね。」
「あ、あの、それじゃあ、私がミーコちゃんと…。」
「あの~、できればお姉さまの方が…。」
奈緒子が動こうとするが、美音子が上目遣いで梓を見る。
「…しょうがないわね…まぁ、肩を貸すのに奈緒子ちゃんだと大変そうだし…ちょっと行ってくるわ。」
「では、こちらで。」
メイドに案内されて二人は部屋を出て行く。
「まぁ、薬があって何よりだったな。」
「うむ、その上、このような幸運に恵まれるとは、猫森もたまには役にたつものだ。」
「…本田君…ミーコちゃんが聞いたら怒るよ、それ…。
…あれ?雨?」
奈緒子が窓を見ると、雨粒がぽつぽつと…次第に雨脚は強くなっている。
「あちゃー、降ってきたか。」
「荷物は…一応服なんかは、ほとんど持ってきたけど…携帯も圏外のままか…。」
「おかしいなぁ、いくら離れ小島とは言え、携帯用のアンテナがこの町に立ってるから、圏外はありえないんだが…。
それよりボートが心配だよな。」
「そうですねぇ…。でも、人が居るって事はボートとか有りますよね?」
「ま、ね。」
「…なぁ、二人が心配にならないか?ノゾキに…。」
「…行かん。」
「……。」
一方、バスルームに案内された梓と奈緒子は
「うっわ~、すっごいですねぇ~。まるで映画の世界みたい~。」
「ほら、奈緒子。
はしゃいでないで、薬を塗るわよ。」
「は~い。」
「…って、何よ、その期待に満ちた目は…。」
「お姉さま、塗って。」
奈緒子はハートを撒き散らしかねない勢いの満面の笑みで言う。
梓は、仕方なく承諾した。
「分かったわよ…。で、何処?」
「ココです。」
足を開いた美音子の指し示した場所は足の付け根近くの内股…
「…どうやったら器用にこんな所を刺されるのよ…。」
ブツブツ言いながら梓は薬を付けていく。
「んっ…冷た…あ、あはぁ…ふぅん…。」
「ちょっと…変な声出さないでよ…。」
「だ、だって、お姉さまに触られてると思うと、声を我慢できないんだもん。」
「あのねぇ…。」
言いながら、美音子の股間に顔を近づけている梓は、先ほどの直樹との接近を思い出してドキドキしてしまう。
(や、やだ、何考えてるのよあたしは…。)
「あはぁ…はぅん…はぁぁぁ…。」
「勝手にイかないでよ…。」
その後、二人は戻ってきたものの、雨脚が強くなってきたため、帰ることも出来ずにそのまま食事を勧められた。
食堂も豪華な調度品が並び、5人分の食事が並ぶ。
「へぇ~。エリカさんって言うんですか、いい名前ですね。」
「はい、ありがとうございます…。」
つい、話はメイド、エリカの事などになってしまう。
「…あの…、エリカさんは食べないんですか?」
「私は後でいただきますのでご心配なく。
そもそも、メイドが主人やお客様とご相伴するなど失礼ですから…。」
「はぁ~、あたしには信じられないわね。」
「ま、猫森には無理だから止めとけ。
いや、まったく、こんな美人ですばらしいメイドさんを雇えるご主人が羨ましい。
出来れば、僕が変わりたいぐらいだ。」
「何ですって~…。」
「まぁ、…お上手ですこと。」
透は妙にハイテンションになっていた。
直樹は最初からの疑問を口にする。
「…そういえば、ここのご主人は不在との事でしたが…良かったんですか?勝手に、俺達を中に入れても。」
「ええ、構いませんよ。ご主人様は長く館を空けておりますし、その間の一切を私が任されております。
また、こんな所に建った館ですので、ご主人様もお客様は大歓迎されると思いますわ。」
「そうですか…。」
食事の後も雨は止まず、エリカの進めもあって、今夜はこの楽園館に泊まることになった。
「では、皆さん。2階が客間になっておりますのでご自由にお使い下さい。
どの部屋もいつでも使えるようにしておりますから。」
「どの部屋も、ですか…。」
「ええ、一人ではお仕事しかやることが無いのでつい…。」
「すばらしい!あなたはメイドの鏡だ!」
「あんたは黙ってろ!」
「ふふっ、楽しい方達ですね。」
「…それじゃあ、エリカさん。お休みなさい。」
「はい、お休みなさいませ。御用がございましたら、いつでもおよび下さい。」
事実、どの部屋も掃除が行き届いており、ベットメイキングも完璧だった。
とりあえず、並んで部屋を取ることにして、その日はみんな休んだ。
「お早うございます。ご主人様。」
次の日、直樹はエリカのそんな声で目が覚めた。
「…ん、んん…、俺はご主人様じゃありませんよ?」
「あら…、つい習慣になっていたものでしたから…失礼いたしました。
朝食のご用意も出来ております。お召し物もご主人様の物で申し訳ありませんが、ご用意しております。
お着替になって、食堂へお越し下さいませ。」
「…分かりました。」
「では、失礼します。」
その日は、霧が立ち込めていた。
相変わらず携帯は通じず、また、この館には電話も無いらしい。
一応、ボートは無事だったが、霧の中ではボートは危ないとエリカに止められた。
結局、夏休み中である事もあり、館に厄介になる事になる。翌日も、その翌日も…。
「ふぅん…古めかしい甲冑が並んでるけど、これもご主人様の趣味かなぁ…。」
「多分ね。廊下に10体は並んでるけど…いくらするんだろう…。」
「あんたねぇ…そんな事言ったら、この屋敷の物、みんなきりが無いじゃない。」
することも無く屋敷内を散策して回る直樹と梓は中庭へと出た。
「うわ~、すごいバラ園ね。」
「うん、これは手入れが行き届いている…これもエリカさんが一人でやっているのかなぁ。」
見とれている二人に、声をかけるメイドが一人…。
「昼食のご用意が出来ました。お客様…。」
「ん?あぁ、奈緒子さん、ありがとう。すぐに行きます。」
深く一礼して屋敷に入っていくメイドの奈緒子。
キリ…
「…あれ?…」
直樹は妙な違和感を感じていたが、お腹がすいているので梓と共に食堂へと向かう…。
(『楽園の館』 3へ続く。)
「…すごいですぅ…。」
「そ、そうね。ちょっとあたし達、場違いな感じよね…。」
4人が圧倒されている横で、透はブツブツ呟いていた。
「むぅ…調度品の年代はバラバラの様だが、趣味は悪くない…。
だが、何より、あのメイドさんのスタイル…長袖ロングスカートの黒ワンピースにフリルたっぷりのエプロン…正しく正当なメイドさんだ。
すばらしい、すばらしいよ、まだ見ぬご主人様とやら…出来れば僕が変わりたいぐらいだ…。」
「水野…キショい…。」
美音子は痛みに呻きつつ、それでも言わずにはおれぬといった感じで呟く。が、透には届いてないようだ。
しばらく待っていると、先ほどのメイドが薬を持ってやって来た。
「薬をお持ちしましたが…こちらでは殿方がおられますので…。」
「あ、そうですね。」
「あ、あの、それじゃあ、私がミーコちゃんと…。」
「あの~、できればお姉さまの方が…。」
奈緒子が動こうとするが、美音子が上目遣いで梓を見る。
「…しょうがないわね…まぁ、肩を貸すのに奈緒子ちゃんだと大変そうだし…ちょっと行ってくるわ。」
「では、こちらで。」
メイドに案内されて二人は部屋を出て行く。
「まぁ、薬があって何よりだったな。」
「うむ、その上、このような幸運に恵まれるとは、猫森もたまには役にたつものだ。」
「…本田君…ミーコちゃんが聞いたら怒るよ、それ…。
…あれ?雨?」
奈緒子が窓を見ると、雨粒がぽつぽつと…次第に雨脚は強くなっている。
「あちゃー、降ってきたか。」
「荷物は…一応服なんかは、ほとんど持ってきたけど…携帯も圏外のままか…。」
「おかしいなぁ、いくら離れ小島とは言え、携帯用のアンテナがこの町に立ってるから、圏外はありえないんだが…。
それよりボートが心配だよな。」
「そうですねぇ…。でも、人が居るって事はボートとか有りますよね?」
「ま、ね。」
「…なぁ、二人が心配にならないか?ノゾキに…。」
「…行かん。」
「……。」
一方、バスルームに案内された梓と奈緒子は
「うっわ~、すっごいですねぇ~。まるで映画の世界みたい~。」
「ほら、奈緒子。
はしゃいでないで、薬を塗るわよ。」
「は~い。」
「…って、何よ、その期待に満ちた目は…。」
「お姉さま、塗って。」
奈緒子はハートを撒き散らしかねない勢いの満面の笑みで言う。
梓は、仕方なく承諾した。
「分かったわよ…。で、何処?」
「ココです。」
足を開いた美音子の指し示した場所は足の付け根近くの内股…
「…どうやったら器用にこんな所を刺されるのよ…。」
ブツブツ言いながら梓は薬を付けていく。
「んっ…冷た…あ、あはぁ…ふぅん…。」
「ちょっと…変な声出さないでよ…。」
「だ、だって、お姉さまに触られてると思うと、声を我慢できないんだもん。」
「あのねぇ…。」
言いながら、美音子の股間に顔を近づけている梓は、先ほどの直樹との接近を思い出してドキドキしてしまう。
(や、やだ、何考えてるのよあたしは…。)
「あはぁ…はぅん…はぁぁぁ…。」
「勝手にイかないでよ…。」
その後、二人は戻ってきたものの、雨脚が強くなってきたため、帰ることも出来ずにそのまま食事を勧められた。
食堂も豪華な調度品が並び、5人分の食事が並ぶ。
「へぇ~。エリカさんって言うんですか、いい名前ですね。」
「はい、ありがとうございます…。」
つい、話はメイド、エリカの事などになってしまう。
「…あの…、エリカさんは食べないんですか?」
「私は後でいただきますのでご心配なく。
そもそも、メイドが主人やお客様とご相伴するなど失礼ですから…。」
「はぁ~、あたしには信じられないわね。」
「ま、猫森には無理だから止めとけ。
いや、まったく、こんな美人ですばらしいメイドさんを雇えるご主人が羨ましい。
出来れば、僕が変わりたいぐらいだ。」
「何ですって~…。」
「まぁ、…お上手ですこと。」
透は妙にハイテンションになっていた。
直樹は最初からの疑問を口にする。
「…そういえば、ここのご主人は不在との事でしたが…良かったんですか?勝手に、俺達を中に入れても。」
「ええ、構いませんよ。ご主人様は長く館を空けておりますし、その間の一切を私が任されております。
また、こんな所に建った館ですので、ご主人様もお客様は大歓迎されると思いますわ。」
「そうですか…。」
食事の後も雨は止まず、エリカの進めもあって、今夜はこの楽園館に泊まることになった。
「では、皆さん。2階が客間になっておりますのでご自由にお使い下さい。
どの部屋もいつでも使えるようにしておりますから。」
「どの部屋も、ですか…。」
「ええ、一人ではお仕事しかやることが無いのでつい…。」
「すばらしい!あなたはメイドの鏡だ!」
「あんたは黙ってろ!」
「ふふっ、楽しい方達ですね。」
「…それじゃあ、エリカさん。お休みなさい。」
「はい、お休みなさいませ。御用がございましたら、いつでもおよび下さい。」
事実、どの部屋も掃除が行き届いており、ベットメイキングも完璧だった。
とりあえず、並んで部屋を取ることにして、その日はみんな休んだ。
「お早うございます。ご主人様。」
次の日、直樹はエリカのそんな声で目が覚めた。
「…ん、んん…、俺はご主人様じゃありませんよ?」
「あら…、つい習慣になっていたものでしたから…失礼いたしました。
朝食のご用意も出来ております。お召し物もご主人様の物で申し訳ありませんが、ご用意しております。
お着替になって、食堂へお越し下さいませ。」
「…分かりました。」
「では、失礼します。」
その日は、霧が立ち込めていた。
相変わらず携帯は通じず、また、この館には電話も無いらしい。
一応、ボートは無事だったが、霧の中ではボートは危ないとエリカに止められた。
結局、夏休み中である事もあり、館に厄介になる事になる。翌日も、その翌日も…。
「ふぅん…古めかしい甲冑が並んでるけど、これもご主人様の趣味かなぁ…。」
「多分ね。廊下に10体は並んでるけど…いくらするんだろう…。」
「あんたねぇ…そんな事言ったら、この屋敷の物、みんなきりが無いじゃない。」
することも無く屋敷内を散策して回る直樹と梓は中庭へと出た。
「うわ~、すごいバラ園ね。」
「うん、これは手入れが行き届いている…これもエリカさんが一人でやっているのかなぁ。」
見とれている二人に、声をかけるメイドが一人…。
「昼食のご用意が出来ました。お客様…。」
「ん?あぁ、奈緒子さん、ありがとう。すぐに行きます。」
深く一礼して屋敷に入っていくメイドの奈緒子。
キリ…
「…あれ?…」
直樹は妙な違和感を感じていたが、お腹がすいているので梓と共に食堂へと向かう…。
(『楽園の館』 3へ続く。)
Comment
[526] え~…。
あらためて読み直すと、頭悪すぎます(笑
次はもっと頭の悪い展開ですのでお覚悟を(マテマテ
次はもっと頭の悪い展開ですのでお覚悟を(マテマテ