『夏の幻。』 3
御名神亭の業務日誌
僕が学校のプールに着いた時には、すでに水泳部の部員は帰った後だったらしい。
だけど、顧問の先生がポンプ室から出てくる所だった。
「おう、波野か。どうした?こんな時間に。」
僕を確認した先生が声をかける。だけど僕はなんと答えたら良いのか分からず
「いや、あの…。」
と、しか答えられなかった。
実は、水泳部の顧問の畑中先生は僕達のクラスの担任でもある。そのせいか、何かに気付いたように。
「ああ、早川ならまだプールだぞ。何でもどうしても居残りでフォームを直したいとか…
部活中もまるで何かを忘れたいみたいに必死になってたしなぁ…。
ま、俺じゃあ止められん。すまんが、波野からも言ってやってくれ。…あぁ、そうだ。帰るなら鍵を職員室まで返しに来てくれ。」
こっちが何か言う前にそれだけ言うと僕の肩をポンっと叩いて行ってしまった。
ともかく、早川はプールに居るらしい。僕はプールへと入って行った。
だけど、顧問の先生がポンプ室から出てくる所だった。
「おう、波野か。どうした?こんな時間に。」
僕を確認した先生が声をかける。だけど僕はなんと答えたら良いのか分からず
「いや、あの…。」
と、しか答えられなかった。
実は、水泳部の顧問の畑中先生は僕達のクラスの担任でもある。そのせいか、何かに気付いたように。
「ああ、早川ならまだプールだぞ。何でもどうしても居残りでフォームを直したいとか…
部活中もまるで何かを忘れたいみたいに必死になってたしなぁ…。
ま、俺じゃあ止められん。すまんが、波野からも言ってやってくれ。…あぁ、そうだ。帰るなら鍵を職員室まで返しに来てくれ。」
こっちが何か言う前にそれだけ言うと僕の肩をポンっと叩いて行ってしまった。
ともかく、早川はプールに居るらしい。僕はプールへと入って行った。
僕が入って行くと、ちょうどコースの反対側にタッチして、水からあがる早川の姿だった。
均整の取れた体に昨日と同じ競泳水着を着て、水が滴る早川を見て思わず…昨日の部長に弄られる彼女の姿を思い出してしまい、心臓がドキドキしてしまう。
「あ、波野君。よかった、来てくれたんだ。」
そう言って笑顔で僕に近づいてくる早川に僕は
「昨日はゴメン!だ、だけど、絶対に誰にも言わないから!だから…だから…。」
完全にパニックだった。何を言っていいのか分からず謝ってしまう。そんな僕を見て、クスっと笑う早川。
「ふふ、…あのね、私の話を聞いてほしいの…昨日の事、それと今までの事。」
そう言うと彼女の表情が少し曇る。
それは、僕の理解の範疇を超えていた…。
彼女が水泳部に入って、しばらくした頃、あの部長に彼女の“初めて”を奪われた事。
そして、何度か居残り練習の名目で身体を要求された事。
その後も奴の要求されるままあらゆる場所で身体を重ねた事。
次第に要求が彼女を辱めるような事をするようになった事。
…そして、ある時、奴に弄ばれたのが彼女だけでは無く複数居た事を聞き…
早川は昨日、それを問いただす為に奴を呼び出し、そして、あっさりその事実を認めた奴はなんと自分から逃げられなくしてやると行為を撮影し始めたのだと。
そして、僕が突然現れ、なんと…。
「波野君、先輩を殴ってから、『俺の彼女に何しやがる!!今度、夏海に手を出したらこんなもんじゃ済まないぞ!』って、言ってくれたんだよ?」
自分がやった事とはいえ信じられない…。そんな事言ったのか…。
「そ、その、やっぱりゴメン…あの時はどうかしてたんだ…。」
「?…なんで謝るの?…私、ビックリしたけど…嬉しかった。だって私、何となく気付いてた。部長が欲しかったのは私の身体だけ。だから殴られてあっさり逃げ出したの。
それに、波野君は気付いてないだろうけど、私…ずっと波野君を見ていたんだよ?だから、いつも明るいふりをしていられた…。」
そういいながら、彼女の目には涙。…思わず僕は彼女を抱きしめていた。
「きゃっ!ちょっと、痛い…。」
「あ…ご、ゴメン。はは、僕って馬鹿だな。全然早川の気持ちに気付いてなかった…ゴメン。」
「もう、さっきから謝ってばっかりだね。」
「ゴメン…あ!あはは…。」
「ふふ…。」
二人は笑い出す。そして、彼女を抱きしめたままの僕はその事に気が付き…勝手に“身体の一部”が反応していた。
「あっ!こ、これは…ゴメン…。」
「いいよ、それよりも私…汚れちゃってるよ?それでもいいの?」
「馬鹿!そんな…そんな事いうなよ!…早川は…夏海の体はきれいで…柔らかくて…いい匂…塩素の臭いだな…。」
「ぷっ。なに言い出すかなぁ。良いムードだったのに。…だけどありがとう…波野く…ううん、陸君。」
見つめあう僕達はすごく自然に顔が近づいていき…キスをしていた…。
(『夏の幻。』 4へと続く。)
…まぢ?予想を裏切って展開してますが…いや、ここで終わってもいいんですが…。きっと読者様がこの先を期待しているだろうなぁ~~と…。続きます…(汗
Comment
[74] もうね。
書いてる途中で、部長を殴り倒したくなるやら、二人がかわいくて泣けそうになるやらわけが分かりません(ぉぃ
ともかく、2回で終わる筈が…計画性の無さに呆れつつ、もう少しだけお付き合い下さい。m(_ _)m
ともかく、2回で終わる筈が…計画性の無さに呆れつつ、もう少しだけお付き合い下さい。m(_ _)m