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御名神亭の業務日誌

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『御島学園 水泳大会事件』 決 

御名神亭の業務日誌

「…ふぅ、なんだか暑いわねぇ」

 御島唯は不満げに呟きを漏らした。
 私立御島学園、室内プールでの戦いは一時間少々経とうとしているが、みことと楓が捕まった人々を多少救出したものの、これといった進展は無いままだった。
 隣の妹、零は相変わらずの無表情で状況分析をする。

「ほむらと雷君の炎と、粘液が焼かれる際に発生する水蒸気で、実際に室内プール内の温度、湿度は上昇している…」
「そう…、相手は未だかなりの人を取り込んだまま回復可能…長期戦は不利だけど…」
「人命を優先するなら現状維持しか無い。
 楓とみことの作業が早く終わるしかない…」
「そうね…。
 あぁっ!こんな時に私も出来る事があればっ!」

 不快指数と相まって、普段冷静な唯は憤る。
 それを諌めるのはいつも零の役目だった。

「落ち着いて、姉さん…。
 同じ御神の一族でも、戦闘系の能力発現者ではない私たちがあの中にいっても役に立てない。
 むしろ、彼らを信じて、分析、指揮をするのが私達の役目…」
「…あ~もうっ! 妹に諌められるなんて、姉失格ね…。
  よし! 私に出来る事は大局を見極めること!
 捕まった人の救出状況は! …そちらは中々手こずってるみたいね…」
「えぇ…」


 粘液に捕まった人達の救出に当たっているみことと楓は、苦戦していた。

「えーいっ!」

   ざしゅっ!  きゅあぁぁぁっ!

「んもぅ!
 また避けたぁ~!」
「みこと、焦るな」
「分かってるけど、狙った所から人を動かすのは卑怯だぁ」

 みことの“刈り取る者”はオーラの刃に触れた相手の生命力そのものを一撃で絶つ事も可能なのだが、対する粘液の巨大さと、中に捕らわれている人が粘液内で移動している事が救出を困難にしていた。

「気持ちは分かるけど、今は一人でも確実に助けて、雷君とほむらが全力で戦えるようにしないと」
「…うん、そうだね。
 とりあえず…そこっ!

 振り向きざま、迫り来る粘液をオーラの刃で切り裂き、一瞬、粘液の隙間が捕まった女生徒近くまで達する。

「楓ちゃん!今だっ!」
「あいよっ!」

 返事と共に、楓の手に握られた種が発芽し、数本の蔓の鞭が伸びる。
 楓の、“御木”の血が操る、異界植物“鬼蔓”の鞭である

「それっ!」

 楓が鞭を振るい、女生徒に巻きつくと鬼の強力(ごうりき)で粘液から引きずり出す。

「よし! この調子で次も行くよ!」
「うん!」


 そして…。

でりゃあ~~~!

   じゅぅぅぅぅっ    GAぁぁaぁっ

 蠢きながら襲い来る粘液に、ほむらは炎をまとった拳で打ち返し、押し戻す。
 炎が一部の粘液を蒸発させながら、おぞましい叫び声を上げ引いていく。
 が、その量たるやプール一杯。 そうそうすべてを蒸発出来るものでもない。

「ほむら!
 今から全力じゃあバテるぞ! ふんっ!」

 雷も粘液を迎撃しながら、ほむらに声をかける。

はぁはぁ…、分かってる、分かってるけど、こいつらしつこいんだよ! …はぁはぁ
「みこと達の救出が終われば俺達二人分の火炎で焼き尽くせるはずだ。
 今は耐えろ」
「わ、分かった…」

 いつものほむらと違い、戦いだけではない消耗が気になるが、雷も迎撃に手が離せない状況だった。

   どくんっ

「うっ…あ…
ほむら! 大丈夫か!?

 雷がほむらの異変に気づいて叫ぶ。

、大丈夫だ。
 うりゃっ!

 そう答えたものの、ほむらは身体の奥から熱とも疼きともつかない“何か”が湧き上がるのを感じていた。
 しかし、今はそれどころでは無い。
 ほむらは身体の変調は考えないようにして戦いに没頭しようとする。
 …が、それも長く持たなかった…。

   どくんっ! どくんっ!

ほむら危ないっ!
「なっ…うわぁっ!

 身体の疼きは強くなっていく為、ほむらの反応が遅れた。
 粘液の波がほむらを襲うその瞬間。

   どんっ!

うわっ!

 動けないほむらに、雷が体当たりして突き飛ばす。
 おかげでほむらは粘液の波に飲み込まれずに済んだが、代わりに雷が粘液に飲み込まれる。

痛…って、雷!?
雷くん!
雷君!

 突然のアクシデントに一同が飲み込まれた雷に注視する。
 だが、飲み込んだ雷の周りの粘液の様子が通常と違い、細かい泡が発生していた。

「ら、雷?」
「雷くん?…まさか!?」

 雷の周りの粘液の泡は大きくなり、やがて粘液全体にバチバチと帯電していく。
 雷の操る電撃と、それによる水の電気分解が起こっているのだ。

   バリバリッ!   GAアァあぁァっ!!

今だ!

 激しい雷撃に粘液の所々が粘性を失い崩れ始める。
 そこに楓が蔓鞭で雷を救い出す。
 が、自身の雷撃でボロボロになっていた。

「雷!」
「雷くん!」

 堪らず雷の元に駆け寄るほむらとみことに雷は弱々しい笑みで

…ははっ…雷使いが自分の雷撃でやられてちゃ世話無いな…。
 捕らわれた人にも雷撃を…食らわせちまったのは…悪いけど…ほむらが無事でよかった…。
 …後は頼む…


 そう言うと、雷から力が抜けていく。

ちょっ!
雷くん!?

 パニックを起こしそうな二人に楓が諭すように言う。

「大丈夫、雷君は生きてる。
 それより、敵はまだ動けるみたいだ!気を抜くな!」

 見れば、粘液の動きは鈍いがぶるぶると震え…先ほどの雷撃でのダメージを急速に回復しようと、捕らわれている人々を…急速に消化し始めた!

拙い!
 今、アレに回復されたら手が出ない!」

 唯が叫ぶ。
 零が非情な宣言をする。

「…残念だけど、中の人たちは絶望的…。
 今は回復しきらないうちに止めを刺して」

 その声に楓が呻く。

くぅ…、それしか、それしかないのか?…」

「くっそっ!
 ゆるさねぇ…雷だけじゃなく…みんなを…許さねぇぞっ!
「当たり前だよ!
 もう、ボクも全力でいくからね!

 ほむらとみことが怒りのままに、力を解放し始める。
 それを施設内の各種センサー類に直結したノートPCをモニタリングしていた零が珍しく動揺して言う。

「…超高密度の魔力(マナ)が集まってる…あの二人も拙い…。
 あのまま力を開放したら、二人の身体が持たない!」
な、なんですって!?
 ちょ、ちょっと零、何か止める方法は無いの!?」
「…あれを止められる人は…鋼刃氏か光輝氏レベルはないと…。」
「なんてこと…」

 無慈悲な回答に愕然とする唯だったが…その時、暴走寸前の二人の前に更なる変化が現れる。


 …二人の前に更に超々高密度魔力集結…実体化するわ。
 …こ、この波形パターンは…」
ま、愛!?

 ほむらとみことの前に現れたのは…長い黒髪に白いワンピース姿の幼い少女。
 御神一族の過去の当主、世界に拡散した少女、御神愛(みかみ まな)だった。
 愛は二人に向かって優しく言う。

「みこと、ほむら、二人は本当に優しいね。
 でも、怒りのまま力を振るっちゃだめだよ?
 ほら…こうすると…二人の思いは、みんなを助けられるすっごい力になるんだよ?」

 愛が少し力を加えると、二人の力が重なっていく。

「「ううっうわああぁぁぁぁっ!!」」

   キョァァァァッ!

 目の前に信じられない事が起こっていた。
 二人の力が終結した場所に出現したモノは、全身炎をまとい、長い尾羽を持つ巨大な鳥
 その炎の鳥が奇声を上げ、羽ばたき、粘液をその身の炎で焼き尽くしていく。

   ゴアアァァァァッ!   ぐGYAあァァァァァっ!

、凄い…」

 呆然と見守る三人の前でプール一杯の粘液は焼き尽くされ…後に残るのは大量の灰。
 そして、更に信じられない事が起こった
 灰が輝きだしたと思うと、それが人の姿を象り…やがて、粘液に捕らわれ、吸収された人々になっていく…その中には、最初の犠牲者のさくらの姿もあった。
 やがて、その人々が目を覚ます。

「あ、あれ?何が起こったんだ…って、何で裸なんだ!?
いやーー!何で私裸なのよ~~!」

 無事な人々の悲鳴で残りの人々も目を覚まし、一時場内は騒然とする。

…なんつーご都合主義…、まぁ、流石に水着なんかは元に戻らないか…
 執行部員!バスタオル持って来い!収拾させるぞっ!

 楓の声に避難を完了させプールの外に待機していた執行部員たちがテキパキと囚われていた人々を誘導していく。
 それを見ていた唯が呟く。

「流石、楓ね。 あちらの指示は要らなさそうだわ…。
 しっかし、…信じられないわね…二人の力…アレは何?」
「…これは推測だけど…ほむらの火炎と、みことの生命力を扱う能力と、あの鳥のような形状…。
 古来より各国の文献に登場する、不死鳥、もしくはフェニックスに近いような気がする…」
「フェニックスって…確か、500年に一度、火口に身を投げてその中から復活するあの?」
「そう、二人の力が生み出したのか、超高密度の魔力による次元の歪みで幻獣と呼ばれるそのものを呼び出したのか分からないけどね」
「…呆れたものね。
 いつの間にか、愛も居ないし…って、ほむらの様子が変じゃない? 行きましょう!」
「えぇ」

 喧騒もほぼ収まったプールに残るのは4人。

「みこと、大丈夫?」
「あ、唯ちゃん、零ちゃん、うん。何とかね。
 雷くんも楓ちゃんが執行部の人たちと病院に搬送するって言ってたんだけど…ほむらちゃんがボクの“治癒”でも良くならないんだよぉ」

 状況を唯に説明するみことの横で、零がうずくまって息の荒いほむらの様子を見る。

「…これは…、粘液に呑まれた後何か言っていた?」
「そ、そう言えば、だいぶ水を飲んでたみたいだけど…」
「…多分、それね。
 恐らく、あの粘液の催淫作用と力の使い過ぎで、身体のバランスが無茶苦茶になってると思うわ…」
「そ、それって、あの粘液がまだほむらちゃんの中にあるって事?」

 慌てて聞くみことに零ははっきり否定する。

「それは無いと思う。 
 二人のフェニックスの力はあなた達自身にも影響していると思うし…」
「フェニックス?」

 聞きなれない単語にきょとんとするみことに唯が短く言う。

「あなた達が出した力の事よ」
「あぁ、アレ。 なんか夢中だったんであんまり実感が無いんだけど…あはは」
「…まぁ、良いわ。
 それで零、ほむらの方はどうなの?」
「結構急いだ方が良い…と思う。
 身体のバランスを元に戻せば良いんだから…ここは古典的だけど、“房中術”が手っ取り早いと思う。
 …みことも居るし。」
「へ?
 “房中術”?」

 また聞きなれない単語にきょとんとするみことに唯は少し言いにくそうに告げる。

「…要するに…みこと、あなたがほむらとエッチSEXしろって言ってるのよ…。」
えぇ~~~~っ!?

 今はガランとしたプールにみことの叫びが響いていた。

 (『御島学園 水泳大会事件』 決 了。)

Comment

[777] Re: 『御島学園 水泳大会事件』 決 
 エロSSなのにエロ一切無し(爆
 …とりあえず、文章量の予測を間違えるのもいつもどおりで…もう一回続きます(汗

 なんつーか、楓じゃないけど、御都合主義感バリバリですが…えっと何?結局ほむらとみことの合体攻撃が書きたかったのか?…その通りです(え~

 では、次回ラストは濃厚なエッチ目指して頑張り…ます?(笑

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水上雷太

Author:水上雷太
『水上雷太』
 「全スポ会会長」
 「御名神亭やとわれ店長」
 「サイト管理人」
 様々な“自称”を使い分ける男。ぶっちゃけ三十路ヲタ(ぷ

 ブログ開設4年目に突入し、何を血迷ったかサイトまで開設する。 どこまで突き進む気だ?

『御剣みこと&ほむら』
 御名神亭の店員。双子の姉妹。
 一見中○生並のコンパクトボディだが18才以上(笑
 一人称が「ボク」と「オレ」だが女の子。
 ほむらはふた○りだが女の子!

『Dr.ノーザンウェスト』
 御名神亭に住み着く、謎の「萌え学」講師。
 某キ○○イ博士に似ているのはただの噂(笑
『ワイルド=エルザ』
 通称「ワルザ」Dr.が某所から設計図を入手して作り上げたモエロイド。
 語尾はお約束の「ロボ。」(笑

 ここは、上記メンバーでお送りするエンターテイメントサイトである。

 リンク&アンリンクはフリーです。ご一報頂けると、リンクを貼り返します(笑





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