御神たちの聖夜 前編
御名神亭の業務日誌
「──それでは皆さん、実家に帰る人も、帰らない人も、良い冬休みを過ごして下さい」
「理事長のあいさつでした。 これにて、終業式を終わります。
なお、生徒有志の主催によるクリスマスパーティーは、迎賓館大ホールにて18:00から開催されるそうですのでお時間ある方はふるって参加してください。 解散」
スピーカー越しのアナウンスが終わると大講堂の中は開放感の入り混じったざわつきに包まれる。
ここは伊豆半島から南下した海上に浮かぶ島、御島を丸ごと敷地とし、生徒、教師以外に都市機能部の関係者をも含めれば人口約一万人を有する巨大学園都市、私立御島学園の大講堂である。
さて、そんな中、この御島学園に通っているほむらとみことの御剣姉妹に声をかける元気な声。
「ぉお~い、みこと、ほむらぁ~」
「理事長のあいさつでした。 これにて、終業式を終わります。
なお、生徒有志の主催によるクリスマスパーティーは、迎賓館大ホールにて18:00から開催されるそうですのでお時間ある方はふるって参加してください。 解散」
スピーカー越しのアナウンスが終わると大講堂の中は開放感の入り混じったざわつきに包まれる。
ここは伊豆半島から南下した海上に浮かぶ島、御島を丸ごと敷地とし、生徒、教師以外に都市機能部の関係者をも含めれば人口約一万人を有する巨大学園都市、私立御島学園の大講堂である。
さて、そんな中、この御島学園に通っているほむらとみことの御剣姉妹に声をかける元気な声。
「ぉお~い、みこと、ほむらぁ~」
「あ!祭ちゃん!」
「お、色も居るのか!」
声をかけた眼鏡にそばかす、三つ編みの活発そうな少女、御堂祭(みどう まつり)。
その祭に手をひっぱられつれてこられた、これまた眼鏡でお下げの、こちらはいかにも小動物っぽい弱々しいオーラを纏った少女、御門色(みかど しき)である。
「やっとみつけたで、相変わらず二人ともちっこいから探すのが難儀でかなわんわ」
祭が言うとおり、ほむらとみことは同年代の他の少女達に比べると小さい方である。
当然本人達も気にはしているのだが、他人に改めて言われると直情型のほむらは黙ってはいない。
「んだとぉ!このダブル眼鏡っ娘!」
「はん!メガネは萌えの基本なんやで!」
「ま、まぁまぁ、ほむらちゃん抑えて」
「…祭ちゃんも…やめてぇなぁ…」
ほむらと祭が不毛な言い争いをしそうだったので、みことは半分羽交い絞めっぽく、色は祭の制服の裾を遠慮がちにひっぱり、止めに入る。
更に外から軽い口調で止めにかかる声。
「っとにあんた達は賑やかだねぇ~」
「あ、楓ちゃん!」 「楓姉ぇ!」 「楓姉さん!」 「楓さん…」
一様に振り向いた先の大柄な上級生、生徒会執行部の御木楓(みき かえで)。
「なんだかんだで御神が集まっちゃうねぇ~」
この時まだ人の多い大講堂の中になんとなく御神の人間の周りだけ空間が出来るのだがいつものことなので意識しない。
と、言うか普通じゃない、曰くありがちな生徒の多い中でも御神の一族はちょっと有名なのでいたし方が無い。
「まぁ、うちらは明日の予定を聞きに来ただけですよって」
「明日?あぁ、みんな実家に帰省するんだっけ?」
「はい、ボク達は…家が比較的近いんで、雷君と一緒に帰る予定だったんですが…」
「あ~、A知県どうしだったけ?」
「おう、N古屋とA城市だから車で一時間ぐらいかかるんだけどな」
「…なんか、父さんが迎えに来るって…今日の便で…」
ちょっとだけみことが困った顔をしながら言った。
「あちゃあ…うちらも便乗しようとしたんやが…御剣のおじさんはうち、苦手なんよなぁ~」
「…祭ちゃんが嫌やと二人で帰るしかないねんなぁ」
祭の言葉に色が控えめに言う。
さすがに本人の娘の前ではバツが悪いので慌ててフォローの言葉を捜す祭。
「や、嫌や言うんやないんやけど…」
「あ~、分かってるから。
って、父さんと気が合う人も珍しいしねぇ~、たとえば玄太郎おじさんとか?」
「そういやぁ、楓姉ぇはおっさんの所に帰るのか?」
玄太郎=灰藤玄太郎(はいどう げんたろう)は、とある事件で出会った今は無き楓の両親の代わりの保護者のことである。
小学校卒業まで一緒に暮らし、御島学園が開校された為今は別々に暮らしている。
ちなみに離島の学園と言うこともあり、御島学園は全寮制である。
また、諸事情で帰れない生徒も多いので寮自体は長期休み中でもやっていたりする。
「いや~それがさぁ、なんか玄太郎は年末年始、護衛の仕事入れちゃってさぁ。
今年は帰省しないんだよぉ。
…もっとも、寮じゃなくて唯や零が誘うんで、御島の家に厄介になるんだけどぉ」
楓は大柄な体格に似合わないぐらい、さみしいオーラ全開で半ば独り言のように言う。
「そ、それは楓姉ぇ大変だなぁ」
「あっ、そ、そや、霞姉さんはどないしてん?」
御影霞(みかげ かすみ)も御神の一族であり、忍者の家系なのだが、それゆえに? 楓に匹敵する長身(違いはスレンダーな体形)でありながら少々影の薄い印象を受ける少女である。
「あぁ、霞ならさっきすれ違ったけど、ペットのミーちゃんにまっしぐら。
今年も一緒に実家に帰省するって言ってたかなぁ」
「「あぁ~…」」
さっきまで落ち込んでいた楓が気を取り直して言った。
ちなみに霞のペットのミーちゃんとは黒猫の事で、以外にも無類の猫好きの霞にとって第一優先事項となっている。
なので、一同が呆れつつ納得してしまった。
その時、突然楓が思い出したように言う。
「あ、そうだ。
祭、あんた、この後のクリスマスパーティーの幹事の一人でしょうに。
唯があたしに、あんた探して引っ張って来いって言われてるんだよ」
「ちょっ!ちょっといきなり引っ張らんといてぇ~。
あ、色の事よろしゅうなぁ~…」
楓に引っ張られるように大講堂の外に祭が連れて行かれる。
ほとんど人が出て行った大講堂取り残されたのは、ほむらとみこと、そして色だった。
「あらら、なんか取り残されちゃったねぇ~」
「だな」
「そ、そうおすなぁ…」
三人は一族なので元々面識はあるのだが、色の性格上あまり話した事が無かったりして、話題が途切れてしまう。
その空気を破るような気配が大講堂に入ってくる。
「おやおや、ここにいるのはあんたらだけどすか?」
「え?!」
「ば、ばあちゃん?!」
「お師匠さま!」
「それに、父さんに光輝おじさんまで!」
入ってきたのは三人、左右に神妙な顔をした、男が二人、雷の父親、御名神光輝(みなかみ こうき)と、ほむらとみことの父親、御剣鋼刃(みつるぎ こうじん)。
そして、中央に外見的には5,60代の着物をキッチリ着た女性。
この女性こそ、齢100を越え、占い呪術を専門とする御神の一族の一つ、御門家の長、大御門の称号を持ち、色の師匠である御門ツネ(みかど つね)である。
ちなみに、御神の一族の総代の光輝や、一人師団の二つ名を持つ鋼刃ですら頭の上がらない人物である。
「なんで?三人で?」
「ばあちゃん、何でまた?」
「あ、あの…お師匠様、どないしはったんですか?」
三人が三人とも同時に疑問を口にするのも致し方なかった。
それほど大御門、ツネは自らの本拠、K都の地を離れないはずだった。
そんな三人の娘を優しく諌めながら事情を話す。
「おやおや、若い娘はもっとおしとやかにせなあきまへんえ。
まぁ、あんたらの驚くのは無理もあらへんけどねぇ。
結論から言うと、占いでこの御島に不穏な気配がおます…おそらく御霊(ごりょう)かと思いまして、なんや鋼刃さんが御島に行くいうんやないの、せっかくですので便乗させてもろうたんどす」
「まぁ、そんな訳で鋼刃だけだと無作法があってはいけないんで、私も同行したんだよ」
「まぁ、よう言うわ。
せっかく鋼刃さんとでぇとですのに、無粋はどっちですか?」
軽くしなを作って鋼刃にもたれかかるツネ。 慌てる鋼刃。
「お、大御門さまっ!
お戯れは…」
「あら、ツネって呼んでくれなあきまへんえ」
鋼刃は完全に遊ばれていた。
さすがに友人の為に光輝が助け舟を出す。
「あ~、ツネ様、一応鋼刃も娘の前ですので、お戯れはその位で…」
「そうどすな、そろそろお客さんも現れはるでしょうし」
すっと鋼刃から離れるツネ。
そのやり取りを少々呆れ顔で見る娘達。
「ね、ねぇ色ちゃん、ツネおばあちゃんっていつもあんな感じなの?」
「そ、そうおすねぇ…若い男の人をからかうのも若さの秘訣の一つ言うてましたけど…」
「ばあちゃんのから見たら男はみんな若いだろ…」
「ほむらさん、口は災いの元ですえ。
あんたさんは半分“おとこのこ”ですよってうちのお相手してもらいましょうか?」
「ひぃっ!」
うっかり口を滑らしたほむらの背後にいつの間にかツネが立って、首筋に息を吹きかけていた。
「ま、立ち話もなんですよって、皆さん行きましょうか?」
コロコロと笑いながらツネが大講堂の出口に向かっていった。
続く光輝と鋼刃、その後ろを三人の娘たちが続いていく。
みことはそのツネの後姿に獣の…おそらく狐の耳と尻尾が生えている気がしたが、先ほどのほむらの背後に回った気配を感じなかったのを思い出し、気のせいとしておくことにした…。
その後、ツネを先頭にした6人は雷と合流して計7人で手頃なカフェで雑談…というより、相変わらずツネがみんなをからかう状態だった訳だが…。
そしてふとツネが真剣な顔で言う。
「さて、皆さんそろそろ出ますえ。
お客さんもおいでになられたようですしなぁ」
「はっ!」
ツネの言葉に生真面目な鋼刃が答える。
既に臨戦態勢である。
「まぁまぁ鋼刃さん、今から気張っては疲れますえ。
他の皆さんも怯えてしまいます」
「は、すみません…」
「まぁ、ようおす。
それと、一応三人いれば、子供のあんたらの出番は無いかもしれませんが、実戦は何があるか分かりはしまへん。
気ぃは抜かんように頼みますえ?」
「「は、はい」」
ほむら、みこと、色、雷の四人はツネの言葉に緊張する。
そもそも、ツネがK都を離れるのが珍しい上、これから戦いがあるなどと異常事態も甚だしいのだ。
とにかく、御島の北側の海岸に到着したツネたちは、右手の方から異様な気配の黒雲が迫ってくるのが見えた。
「…鬼門から進入。
御霊にしては真っ正面おすなぁ、御霊火呼麻呂(ごりょう ひこまろ)!」
黒雲に向かってツネが叫ぶ。
その黒雲から姿を現したのは身の丈2メートル以上、鋼刃より大柄でいわゆる陰陽師と言った姿の男だった。
「まさか、大御門自ら出陣とは恐れ入ったぞ!
だが、関係ない!
この御島を落として日の本に変革をもたらしてくれようぞ!」
「さて、光輝、鋼刃、行きますえ!」
「はい!」
「応!」
(御神たちの聖夜 前編 了)
「お、色も居るのか!」
声をかけた眼鏡にそばかす、三つ編みの活発そうな少女、御堂祭(みどう まつり)。
その祭に手をひっぱられつれてこられた、これまた眼鏡でお下げの、こちらはいかにも小動物っぽい弱々しいオーラを纏った少女、御門色(みかど しき)である。
「やっとみつけたで、相変わらず二人ともちっこいから探すのが難儀でかなわんわ」
祭が言うとおり、ほむらとみことは同年代の他の少女達に比べると小さい方である。
当然本人達も気にはしているのだが、他人に改めて言われると直情型のほむらは黙ってはいない。
「んだとぉ!このダブル眼鏡っ娘!」
「はん!メガネは萌えの基本なんやで!」
「ま、まぁまぁ、ほむらちゃん抑えて」
「…祭ちゃんも…やめてぇなぁ…」
ほむらと祭が不毛な言い争いをしそうだったので、みことは半分羽交い絞めっぽく、色は祭の制服の裾を遠慮がちにひっぱり、止めに入る。
更に外から軽い口調で止めにかかる声。
「っとにあんた達は賑やかだねぇ~」
「あ、楓ちゃん!」 「楓姉ぇ!」 「楓姉さん!」 「楓さん…」
一様に振り向いた先の大柄な上級生、生徒会執行部の御木楓(みき かえで)。
「なんだかんだで御神が集まっちゃうねぇ~」
この時まだ人の多い大講堂の中になんとなく御神の人間の周りだけ空間が出来るのだがいつものことなので意識しない。
と、言うか普通じゃない、曰くありがちな生徒の多い中でも御神の一族はちょっと有名なのでいたし方が無い。
「まぁ、うちらは明日の予定を聞きに来ただけですよって」
「明日?あぁ、みんな実家に帰省するんだっけ?」
「はい、ボク達は…家が比較的近いんで、雷君と一緒に帰る予定だったんですが…」
「あ~、A知県どうしだったけ?」
「おう、N古屋とA城市だから車で一時間ぐらいかかるんだけどな」
「…なんか、父さんが迎えに来るって…今日の便で…」
ちょっとだけみことが困った顔をしながら言った。
「あちゃあ…うちらも便乗しようとしたんやが…御剣のおじさんはうち、苦手なんよなぁ~」
「…祭ちゃんが嫌やと二人で帰るしかないねんなぁ」
祭の言葉に色が控えめに言う。
さすがに本人の娘の前ではバツが悪いので慌ててフォローの言葉を捜す祭。
「や、嫌や言うんやないんやけど…」
「あ~、分かってるから。
って、父さんと気が合う人も珍しいしねぇ~、たとえば玄太郎おじさんとか?」
「そういやぁ、楓姉ぇはおっさんの所に帰るのか?」
玄太郎=灰藤玄太郎(はいどう げんたろう)は、とある事件で出会った今は無き楓の両親の代わりの保護者のことである。
小学校卒業まで一緒に暮らし、御島学園が開校された為今は別々に暮らしている。
ちなみに離島の学園と言うこともあり、御島学園は全寮制である。
また、諸事情で帰れない生徒も多いので寮自体は長期休み中でもやっていたりする。
「いや~それがさぁ、なんか玄太郎は年末年始、護衛の仕事入れちゃってさぁ。
今年は帰省しないんだよぉ。
…もっとも、寮じゃなくて唯や零が誘うんで、御島の家に厄介になるんだけどぉ」
楓は大柄な体格に似合わないぐらい、さみしいオーラ全開で半ば独り言のように言う。
「そ、それは楓姉ぇ大変だなぁ」
「あっ、そ、そや、霞姉さんはどないしてん?」
御影霞(みかげ かすみ)も御神の一族であり、忍者の家系なのだが、それゆえに? 楓に匹敵する長身(違いはスレンダーな体形)でありながら少々影の薄い印象を受ける少女である。
「あぁ、霞ならさっきすれ違ったけど、ペットのミーちゃんにまっしぐら。
今年も一緒に実家に帰省するって言ってたかなぁ」
「「あぁ~…」」
さっきまで落ち込んでいた楓が気を取り直して言った。
ちなみに霞のペットのミーちゃんとは黒猫の事で、以外にも無類の猫好きの霞にとって第一優先事項となっている。
なので、一同が呆れつつ納得してしまった。
その時、突然楓が思い出したように言う。
「あ、そうだ。
祭、あんた、この後のクリスマスパーティーの幹事の一人でしょうに。
唯があたしに、あんた探して引っ張って来いって言われてるんだよ」
「ちょっ!ちょっといきなり引っ張らんといてぇ~。
あ、色の事よろしゅうなぁ~…」
楓に引っ張られるように大講堂の外に祭が連れて行かれる。
ほとんど人が出て行った大講堂取り残されたのは、ほむらとみこと、そして色だった。
「あらら、なんか取り残されちゃったねぇ~」
「だな」
「そ、そうおすなぁ…」
三人は一族なので元々面識はあるのだが、色の性格上あまり話した事が無かったりして、話題が途切れてしまう。
その空気を破るような気配が大講堂に入ってくる。
「おやおや、ここにいるのはあんたらだけどすか?」
「え?!」
「ば、ばあちゃん?!」
「お師匠さま!」
「それに、父さんに光輝おじさんまで!」
入ってきたのは三人、左右に神妙な顔をした、男が二人、雷の父親、御名神光輝(みなかみ こうき)と、ほむらとみことの父親、御剣鋼刃(みつるぎ こうじん)。
そして、中央に外見的には5,60代の着物をキッチリ着た女性。
この女性こそ、齢100を越え、占い呪術を専門とする御神の一族の一つ、御門家の長、大御門の称号を持ち、色の師匠である御門ツネ(みかど つね)である。
ちなみに、御神の一族の総代の光輝や、一人師団の二つ名を持つ鋼刃ですら頭の上がらない人物である。
「なんで?三人で?」
「ばあちゃん、何でまた?」
「あ、あの…お師匠様、どないしはったんですか?」
三人が三人とも同時に疑問を口にするのも致し方なかった。
それほど大御門、ツネは自らの本拠、K都の地を離れないはずだった。
そんな三人の娘を優しく諌めながら事情を話す。
「おやおや、若い娘はもっとおしとやかにせなあきまへんえ。
まぁ、あんたらの驚くのは無理もあらへんけどねぇ。
結論から言うと、占いでこの御島に不穏な気配がおます…おそらく御霊(ごりょう)かと思いまして、なんや鋼刃さんが御島に行くいうんやないの、せっかくですので便乗させてもろうたんどす」
「まぁ、そんな訳で鋼刃だけだと無作法があってはいけないんで、私も同行したんだよ」
「まぁ、よう言うわ。
せっかく鋼刃さんとでぇとですのに、無粋はどっちですか?」
軽くしなを作って鋼刃にもたれかかるツネ。 慌てる鋼刃。
「お、大御門さまっ!
お戯れは…」
「あら、ツネって呼んでくれなあきまへんえ」
鋼刃は完全に遊ばれていた。
さすがに友人の為に光輝が助け舟を出す。
「あ~、ツネ様、一応鋼刃も娘の前ですので、お戯れはその位で…」
「そうどすな、そろそろお客さんも現れはるでしょうし」
すっと鋼刃から離れるツネ。
そのやり取りを少々呆れ顔で見る娘達。
「ね、ねぇ色ちゃん、ツネおばあちゃんっていつもあんな感じなの?」
「そ、そうおすねぇ…若い男の人をからかうのも若さの秘訣の一つ言うてましたけど…」
「ばあちゃんのから見たら男はみんな若いだろ…」
「ほむらさん、口は災いの元ですえ。
あんたさんは半分“おとこのこ”ですよってうちのお相手してもらいましょうか?」
「ひぃっ!」
うっかり口を滑らしたほむらの背後にいつの間にかツネが立って、首筋に息を吹きかけていた。
「ま、立ち話もなんですよって、皆さん行きましょうか?」
コロコロと笑いながらツネが大講堂の出口に向かっていった。
続く光輝と鋼刃、その後ろを三人の娘たちが続いていく。
みことはそのツネの後姿に獣の…おそらく狐の耳と尻尾が生えている気がしたが、先ほどのほむらの背後に回った気配を感じなかったのを思い出し、気のせいとしておくことにした…。
その後、ツネを先頭にした6人は雷と合流して計7人で手頃なカフェで雑談…というより、相変わらずツネがみんなをからかう状態だった訳だが…。
そしてふとツネが真剣な顔で言う。
「さて、皆さんそろそろ出ますえ。
お客さんもおいでになられたようですしなぁ」
「はっ!」
ツネの言葉に生真面目な鋼刃が答える。
既に臨戦態勢である。
「まぁまぁ鋼刃さん、今から気張っては疲れますえ。
他の皆さんも怯えてしまいます」
「は、すみません…」
「まぁ、ようおす。
それと、一応三人いれば、子供のあんたらの出番は無いかもしれませんが、実戦は何があるか分かりはしまへん。
気ぃは抜かんように頼みますえ?」
「「は、はい」」
ほむら、みこと、色、雷の四人はツネの言葉に緊張する。
そもそも、ツネがK都を離れるのが珍しい上、これから戦いがあるなどと異常事態も甚だしいのだ。
とにかく、御島の北側の海岸に到着したツネたちは、右手の方から異様な気配の黒雲が迫ってくるのが見えた。
「…鬼門から進入。
御霊にしては真っ正面おすなぁ、御霊火呼麻呂(ごりょう ひこまろ)!」
黒雲に向かってツネが叫ぶ。
その黒雲から姿を現したのは身の丈2メートル以上、鋼刃より大柄でいわゆる陰陽師と言った姿の男だった。
「まさか、大御門自ら出陣とは恐れ入ったぞ!
だが、関係ない!
この御島を落として日の本に変革をもたらしてくれようぞ!」
「さて、光輝、鋼刃、行きますえ!」
「はい!」
「応!」
(御神たちの聖夜 前編 了)
Comment
[1017] Re: 御神たちの聖夜 前編
すみません、時間の都合で続きます(汗
しかも装飾無しのメモ帳からのコピペ(大汗
続きは明日には必ず!
…クリスマスは明日までだからいいよね?(滝汗
しかも装飾無しのメモ帳からのコピペ(大汗
続きは明日には必ず!
…クリスマスは明日までだからいいよね?(滝汗
[1018] Re: 御神たちの聖夜 前編
赤松に行く話とかないんですか?
もしくはDパークとか?!
もしくはDパークとか?!
[1019] Re: 御神たちの聖夜 前編
あっはっは、テラ地元ネタ(マテ
まぁ、いつかあるかも?
ぶっちゃけ、何気に聖地化計画…嘘です(ぉ
まぁ、いつかあるかも?
ぶっちゃけ、何気に聖地化計画…嘘です(ぉ