『御名神亭奇譚』 「父、来襲!」
御名神亭の業務日誌
「ありがとうございました~。」
カランカラン♪とドアベルの音が、最後に残った客を見送っていた。
ここは『御名神亭』。
元宿屋…いや、一応今でも…だが、普段はレストラン兼酒場という謎の店。
「二人ともご苦労さん。さて…何時もながら、ランチ時が過ぎると人、いない店だなぁ…。」
苦笑しながら、雇われ店長の水上雷太はカウンターから店内の女の子達に声をかける。
「まぁ、何時もの、事ですけどねぇ…。」
「こんなもんだろ?ま、今日はちょっと入りがイマイチだったけどな。」
答える二人は、この店のオーナーの親戚で、現在唯一の店員。御剣みこととほむらの双子の姉妹だった。
「それで…、この後、ボク達二人ちょっと出てきますから、店長お願いできますか?」
そう少し遠慮がちにみことが言う。
「悪りぃけど母さんがさ、『親父が心配してるから、たまには家に帰って来なさい。』って電話してきてさ。しゃーねーんだわ。」
一方のほむらは、説明しつつ苦笑いしていた。
「あ~、そうか。うちの店に住み込みだからなぁ…。まぁ、どうせ夕方までは暇だしね。いいよ。」
「ありがとうございます。一応、お店の買い物も帰りにしてきますから。」
「よし!それじゃあ、行こうぜみこと!」
ばたんっ!カランカラン!
ほむらが勢いよくドアを閉めて出て行くと、店内は午後のゆったりとした時間だけが流れて行く。
「さて、今日はあのうるさい博士達も出かけてるし…始めてだなぁ、この店に一人だけってのは…。
…っと、夕方の仕込みっ、と…。」
独り言をつぶやきながら仕事を再開していく。
外からはかすかに鳥の声が聞こえていた…。
カランカラン♪とドアベルの音が、最後に残った客を見送っていた。
ここは『御名神亭』。
元宿屋…いや、一応今でも…だが、普段はレストラン兼酒場という謎の店。
「二人ともご苦労さん。さて…何時もながら、ランチ時が過ぎると人、いない店だなぁ…。」
苦笑しながら、雇われ店長の水上雷太はカウンターから店内の女の子達に声をかける。
「まぁ、何時もの、事ですけどねぇ…。」
「こんなもんだろ?ま、今日はちょっと入りがイマイチだったけどな。」
答える二人は、この店のオーナーの親戚で、現在唯一の店員。御剣みこととほむらの双子の姉妹だった。
「それで…、この後、ボク達二人ちょっと出てきますから、店長お願いできますか?」
そう少し遠慮がちにみことが言う。
「悪りぃけど母さんがさ、『親父が心配してるから、たまには家に帰って来なさい。』って電話してきてさ。しゃーねーんだわ。」
一方のほむらは、説明しつつ苦笑いしていた。
「あ~、そうか。うちの店に住み込みだからなぁ…。まぁ、どうせ夕方までは暇だしね。いいよ。」
「ありがとうございます。一応、お店の買い物も帰りにしてきますから。」
「よし!それじゃあ、行こうぜみこと!」
ばたんっ!カランカラン!
ほむらが勢いよくドアを閉めて出て行くと、店内は午後のゆったりとした時間だけが流れて行く。
「さて、今日はあのうるさい博士達も出かけてるし…始めてだなぁ、この店に一人だけってのは…。
…っと、夕方の仕込みっ、と…。」
独り言をつぶやきながら仕事を再開していく。
外からはかすかに鳥の声が聞こえていた…。
午後4時、仕事もあらかた片付いて、一息つこうかと思ったその時、御名神亭のドアが勢いよく開けられた。
「御免!」
入ってきた男は…筋骨隆々と言うが相応しい体に、紋付袴姿の大男。
一見して只者では無いのだが、問題は…男の後ろの風景が歪んで見えそうな程の凄まじい怒気を纏っていた。
「い、いらっしゃい…。」
圧倒される雷太の声に気がついた男がギロりっ!と振り向くと次の瞬間、雷太の目の前に男が移動していた。
「いっ!」
「き、っ貴様か?貴様がワシのかわいい娘達を拉致監禁の上無理やり働かせておる悪党か?んんっ!頭首殿の頼みであるとは言え、何故にこんなどこの馬の骨とも分からん奴なんぞに…大つぁspjr。」
興奮しているらしくだんだん訳が分からない事を言ってくる男。
しかも肩を捕まれると…けして、軽くない雷太の体が浮いて、振り回されていた…。
「な、な、何です、うわぁぁぁ!!」
体ごと振り回され、血の気を失いかけていた雷太を救ったのは、一発の爽快な破裂音。
スパーーン!
「鋼刃さん!いい加減にしなさい!」
「ぬをっ!」
雷太が気を失う前にくらくらする目で見たものは、キッチリと着物を着た女性の手に握られた大きなハリセンだった…。
「ん、ううん…。」
気がついた雷太に最初に聞こえたのは聞きなれた双子の声。
「…店長、大丈夫ですか…?」
「まぁ、雷太はそう簡単にはくたばらねぇだろうけどな。」
「う~、まだ頭がくらくらする…って、そう言えばイキナリ入ってきたあの男は…?」
二人がなんと説明しようか逡巡していると、後ろから落ち着いた声がかけられる。
「申し訳ございません。うちの人がご無礼をしたようで…。
あ、紹介が遅れました、わたくし、みこととほむらの母、御剣沙夜(みつるぎさや)と申します。
あちらにいる水上様にご無礼を働いたのが、二人の父、鋼刃(こうじん)と申します…。」
丁寧に膝をついてお詫びと説明する沙夜に雷太も思わず正座をしてしまう。
「あ~、…いや…って、ほむらとみことのお母さんとお父さん!?」
「貴様にお父さんと呼ばれる筋合いは無い!」
ゴオーッ!
店内の隅に居たはずの鋼刃が一瞬でこちらに飛んで来る、怒気の風を孕んで。
「鋼刃さん…。」
スパーーン!
雷太は見た。
涼しい顔を崩さぬままの沙夜が、何も無い空間から取り出した巨大ハリセンで、突進する鋼刃を打ち据えつつ停止させるのを。
「…す、凄っ…。」
「あら?見てました?嫌だわ…ほほほ…。」
照れ笑いする沙夜の手には、既にハリセンは無かった。
「さて、それでは水上様。私どもは、これで失礼させて頂きます。
二人をよろしくお願いしますね。」
「は、はぁ…いえ、こちらこそ、お嬢さん方にはお世話になっていますから…。」
雷太はあっけにとられたままだったが、まだ何か文句を言っている鋼刃の耳を引っ張りながら沙夜は店を出て行く。
「…何なの?」
「あ~、長くなるから説明はしねぇぞ…。」
「えっと、ボク達が家に帰ったら、待ちきれなくなった父さんが、凄い剣幕で出てった後だったんだよ。
それで、もしかしたらと思ったんだけど…店長危なかったねぇ。母さんが止めなかったら本気で逝っちゃってたかも…。」
「なんたって、親父が本気でキレたら、軍隊を一大隊投入しても止まるかどうか…。」
二人の説明(?)に納得しつつ身震いする雷太が、ふと疑問を口にする。
「それを止めるお母さんって一体何者だよ…。」
「何者って、普通のお母さんだよ?
えっと、一応、この店のオーナーの雷君のお父さんの妹。それだけ。」
「ま、名前を付けた御門の婆さんの占いじゃ、『抜き身の刃の鞘になる』って出たらしいけどな。」
いつも通り、謎の単語が出てくる言葉を聞きながら、雷太は一言。
「何者だよ…。君達の親戚一同って…。」
「それは…秘密です(^^)」
(「父、来襲!」了。)
「御免!」
入ってきた男は…筋骨隆々と言うが相応しい体に、紋付袴姿の大男。
一見して只者では無いのだが、問題は…男の後ろの風景が歪んで見えそうな程の凄まじい怒気を纏っていた。
「い、いらっしゃい…。」
圧倒される雷太の声に気がついた男がギロりっ!と振り向くと次の瞬間、雷太の目の前に男が移動していた。
「いっ!」
「き、っ貴様か?貴様がワシのかわいい娘達を拉致監禁の上無理やり働かせておる悪党か?んんっ!頭首殿の頼みであるとは言え、何故にこんなどこの馬の骨とも分からん奴なんぞに…大つぁspjr。」
興奮しているらしくだんだん訳が分からない事を言ってくる男。
しかも肩を捕まれると…けして、軽くない雷太の体が浮いて、振り回されていた…。
「な、な、何です、うわぁぁぁ!!」
体ごと振り回され、血の気を失いかけていた雷太を救ったのは、一発の爽快な破裂音。
スパーーン!
「鋼刃さん!いい加減にしなさい!」
「ぬをっ!」
雷太が気を失う前にくらくらする目で見たものは、キッチリと着物を着た女性の手に握られた大きなハリセンだった…。
「ん、ううん…。」
気がついた雷太に最初に聞こえたのは聞きなれた双子の声。
「…店長、大丈夫ですか…?」
「まぁ、雷太はそう簡単にはくたばらねぇだろうけどな。」
「う~、まだ頭がくらくらする…って、そう言えばイキナリ入ってきたあの男は…?」
二人がなんと説明しようか逡巡していると、後ろから落ち着いた声がかけられる。
「申し訳ございません。うちの人がご無礼をしたようで…。
あ、紹介が遅れました、わたくし、みこととほむらの母、御剣沙夜(みつるぎさや)と申します。
あちらにいる水上様にご無礼を働いたのが、二人の父、鋼刃(こうじん)と申します…。」
丁寧に膝をついてお詫びと説明する沙夜に雷太も思わず正座をしてしまう。
「あ~、…いや…って、ほむらとみことのお母さんとお父さん!?」
「貴様にお父さんと呼ばれる筋合いは無い!」
ゴオーッ!
店内の隅に居たはずの鋼刃が一瞬でこちらに飛んで来る、怒気の風を孕んで。
「鋼刃さん…。」
スパーーン!
雷太は見た。
涼しい顔を崩さぬままの沙夜が、何も無い空間から取り出した巨大ハリセンで、突進する鋼刃を打ち据えつつ停止させるのを。
「…す、凄っ…。」
「あら?見てました?嫌だわ…ほほほ…。」
照れ笑いする沙夜の手には、既にハリセンは無かった。
「さて、それでは水上様。私どもは、これで失礼させて頂きます。
二人をよろしくお願いしますね。」
「は、はぁ…いえ、こちらこそ、お嬢さん方にはお世話になっていますから…。」
雷太はあっけにとられたままだったが、まだ何か文句を言っている鋼刃の耳を引っ張りながら沙夜は店を出て行く。
「…何なの?」
「あ~、長くなるから説明はしねぇぞ…。」
「えっと、ボク達が家に帰ったら、待ちきれなくなった父さんが、凄い剣幕で出てった後だったんだよ。
それで、もしかしたらと思ったんだけど…店長危なかったねぇ。母さんが止めなかったら本気で逝っちゃってたかも…。」
「なんたって、親父が本気でキレたら、軍隊を一大隊投入しても止まるかどうか…。」
二人の説明(?)に納得しつつ身震いする雷太が、ふと疑問を口にする。
「それを止めるお母さんって一体何者だよ…。」
「何者って、普通のお母さんだよ?
えっと、一応、この店のオーナーの雷君のお父さんの妹。それだけ。」
「ま、名前を付けた御門の婆さんの占いじゃ、『抜き身の刃の鞘になる』って出たらしいけどな。」
いつも通り、謎の単語が出てくる言葉を聞きながら、雷太は一言。
「何者だよ…。君達の親戚一同って…。」
「それは…秘密です(^^)」
(「父、来襲!」了。)
Comment
[273] あとがき?
わはは、やってしまった(苦笑
『御名神亭奇譚』シリーズ…本当に続くのか?これ…(汗
つーか、お約束すぎる展開なのは能無しの証明だったり…。
『御名神亭奇譚』シリーズ…本当に続くのか?これ…(汗
つーか、お約束すぎる展開なのは能無しの証明だったり…。
[274] お約束という展開
いえいえ、能無しではありません。
ええ。
お約束ということは、それだけ優れた“素体”ということになります。
そしてその調理法一つで如何様にも変化するものです。
面白くもなり、つまらなくもなります。
というか、安心して読めるというのはありますねw如何せん。
オタクの悪いとこでもあり善いとこでもありますけどw
追伸。
サイト「hand made bane」
が先日閉鎖致しました。
リンクの方の削除をよろしくお願いします。
ええ。
お約束ということは、それだけ優れた“素体”ということになります。
そしてその調理法一つで如何様にも変化するものです。
面白くもなり、つまらなくもなります。
というか、安心して読めるというのはありますねw如何せん。
オタクの悪いとこでもあり善いとこでもありますけどw
追伸。
サイト「hand made bane」
が先日閉鎖致しました。
リンクの方の削除をよろしくお願いします。
[275] メタ
管理人さんの中の人はとりあえず置いといて、店長の雷太さんとこのSSの雷太さんは同一人物なのか?
言い換えると、blogを書いてる雷太さんとSSの雷太さんは同一の世界に属しているのか?
それともSSの方はメタ(フィクションのフィクション)な人なのか?
……とかちょっと悩んだり(^_^;)。まあ、どうでもいいですね。
言い換えると、blogを書いてる雷太さんとSSの雷太さんは同一の世界に属しているのか?
それともSSの方はメタ(フィクションのフィクション)な人なのか?
……とかちょっと悩んだり(^_^;)。まあ、どうでもいいですね。
[276] 読者は神様です(笑
や、マヂで。
しがない、SS書きorネタ職人(?)はそんな感じで生きてます。
●Charonさん
そう言って頂ければありがたいです。
さて、サジ加減は如何な物だったか…(汗
リンクの削除は了解です。
…正直言えば、自分が今ブログやってるのは、大いにCharonさんのおかげだったりするので、サイト閉鎖は残念ではありますが…。
ともかく、何時でもココに遊びに来て下さいね。気軽に馬鹿話をしましょう。
●水響 俊二さん
…さて、どっちでしょう?(マテ
実は、『御名神亭奇譚』シリーズも、まだココでは公開してない話、『御神異聞録(パクリっぽいな…・汗)』と繋がってますしねぇ。
って、能力も無いのに「スターシステム」やら「○○ワールド」展開してる馬鹿がココに居ますよ、って話(なんじゃそら
しがない、SS書きorネタ職人(?)はそんな感じで生きてます。
●Charonさん
そう言って頂ければありがたいです。
さて、サジ加減は如何な物だったか…(汗
リンクの削除は了解です。
…正直言えば、自分が今ブログやってるのは、大いにCharonさんのおかげだったりするので、サイト閉鎖は残念ではありますが…。
ともかく、何時でもココに遊びに来て下さいね。気軽に馬鹿話をしましょう。
●水響 俊二さん
…さて、どっちでしょう?(マテ
実は、『御名神亭奇譚』シリーズも、まだココでは公開してない話、『御神異聞録(パクリっぽいな…・汗)』と繋がってますしねぇ。
って、能力も無いのに「スターシステム」やら「○○ワールド」展開してる馬鹿がココに居ますよ、って話(なんじゃそら